ココアはこれまで子どもの飲み物でしたが、最近では健康や美容への効果が期待されています。
中でも特徴的なのはポリフェノールの多さ、ワインなどよりも上だとか。
そんなココアについて詳しく追っていきます。
ココアの成分は?
飲み物としてのココアはココアパウダーを牛乳などで伸ばしたものを指します。
カカオマス(「カカオ豆」を発酵・焙煎してから磨り潰したもの)から油脂分を抜いて粉末状にしたものがカカオパウダーです。
私たちが知るココアはこのココアパウダーに砂糖や粉乳を加えた、「調整ココア」と呼ばれます。
対して油脂分を抜く際に20%程度残したものが「純ココア(ピュアココア)」です。
純ココアこそが本来のココアと言えるわけですが、名前の響きからもわかる通り少々値が張ります。
ここからは純ココアを前提として話を進めさせていただきます。
カカオポリフェノール
ココアにはポリフェノールが多い、という話を聞きますがそれがこれです。
カカオポリフェノール(以後「ポリフェノール」)は体の酸化と活性酸素の増加を抑える働きがあります。
血行改善や美容効果だけでなく脳の活性化やアンチエイジングなど様々な活躍をします。
カカオプロテイン
最近になって注目を集め始めたココアのもう1つ大きな成分がカカオプロテインです。
その大きな効果は排便の促進、研究でも多くの人が「便通の改善」を実感しています。
更に腸内細菌の餌となる腸内フローラに良い変化を与え、整腸作用をも及ぼします。
テオブロミン
テオブロミンは天然ではカカオにしか存在しない成分です。
リラックス効果が大きく取り上げられますが、血管拡張剤や利尿剤など医学分野でも利用されています。
とはいえ(少量なら問題ありませんが)人体には毒性のある成分なので摂り過ぎには注意です。
カカオFFA
遊離脂肪酸と呼ばれる成分の中でもココアの中に含まれるものを指します。
カカオFFAの大きな効果は胃炎や胃潰瘍、胃ガンの原因であるピロリ菌の殺菌です。
感染経路などはいまだ謎なピロリ菌を防ぐためにもココアは優秀な飲み物です。
食物繊維
お通じに良いとされる食物繊維ですが、ココアには豊富とされるセロリやゴボウよりも多いのです。
食物繊維を意識して摂るには大量の野菜を食べる必要がありますが、そこにココアを加えれば食べる量を減らせるかも知れません。
先述のカカオプロテインも相まって、ココアは便秘対策に大きな効果があります。
カフェイン
目覚ましい成分の数々が含まれているココアですが、カフェインが含まれていることも忘れてはいけません。
紅茶やコーヒーに比べれば1/10程度ですが、アレルギーを持つ人は避けた方が良いかもしれません。
先述のテオブロミンもカフェインと併せて「アルカロイド」と呼ばれる刺激物の一種なので注意が必要ですね。
ココアの効果・効能は?
ポリフェノールの含有量ばかりが注目されがちなココアですが、実はそんなことありません。
美容だけでなく健康やアンチエイジングにも大きな効果をもたらすとされます。
その目覚ましい効果の大きな例を紹介します。
高血圧・動脈硬化の予防
高血圧とは血管が詰まったり細くなったりして血液が送りにくくなり、ポンプ(心臓)の送り込む動作が強くなった状態です。
ポリフェノールには血管を広げる作用があるので高血圧の改善に一役買うと言われています。
血圧が高い人ほど低下量が大きいというデータもあります。
加えてポリフェノールには抗酸化作用(酸化を抑え、改善する働き)もあります。
血中のコレステロールが酸化して固まり、血流がよどむのが動脈硬化の原因です。
コレステロールの酸化を抑えて改善することで血流を促進させる効果も期待できます。
ストレスの緩和
ストレスを感じるとストレスホルモンが分泌され、心身に悪影響を与えるとされます。
しかしポリフェノールにはストレスホルモンの分泌を抑える作用があるという研究結果が明らかになりました。
万病の元とも言えるストレスを軽減するためにココアは優秀な食品です。
美容効果・アンチエイジング
肌や見た目の衰えは体内の活性酸素が増加し、体が酸化することで老化が進みます。
この活性酸素は肌や内臓の細胞にダメージを与えますが、呼吸で取り込んだ酸素が変化した物なので無くすことは出来ません。
しかしポリフェノールの抗酸化作用はこれらのダメージを防ぐのに大きな働きをしてくれます。
脳の活性化・認知症改善
意外かも知れませんが脳にも栄養が必要で、その代表的な栄養分がBDNFと呼ばれるたんぱく質です。
BDNFは脳が活発に働く上で無くてはならない栄養素で、これが少なくなると脳機能も低下するとされます。
しかしポリフェノールにはBDNFを増やす効果があるという研究結果が発表され、これからココアの有用性は更に増すでしょう。
便秘改善・整腸作用
先に軽く触れましたが最近になってカカオプロテインとよばれる成分に注目されています。
純度の高いカカオを摂取することで排便量が増加すると共に、便の色が改善に向かうという研究結果が出ました。
更に腸内細菌の活動が活発になり整腸作用もあるので、便秘などにも効果があります。
ニキビ、肌荒れに効果ある?
ココアの美容効果はこれまで取り上げた通りですが、ニキビや肌荒れなどに対してはどうでしょうか。
近年では肌のトラブルは内臓、特に腸の状態が大きく関わってくることが明らかになっています。
ここではココアによる整腸作用、腸内環境の改善からニキビ、肌荒れにアプローチしてみましょう。
ニキビ
ニキビは皮脂(肌に出る脂)の過剰分泌によって毛穴に汚れが詰まり、結果として炎症になった状態です。
洗顔で毛穴の詰まり(以後「角栓」)をこまめに除去するのも大切ですが、皮脂を抑えることだって重要です。
毛穴が詰まるほど皮脂が出てこなければそもそも毛穴は詰まらないわけですからね。
角栓はターンオーバー(肌の新陳代謝)が正常でないために生じます。
体内に蓄積された脂肪分が排便では追い付かないため、皮脂腺(皮脂を出す場所)からも排出しようとした結果が皮脂の過剰分泌です。
つまり新陳代謝が整っていれば皮脂の過剰分泌もなくなると言えます。
では新陳代謝を整えるには…、そう!腸内環境を整える必要が出て来ます。
「思春期ニキビ」とも呼ばれる、成長期特有のニキビもまた新陳代謝を整えることで予防ができます。
というのも成長期となると体が急激に変化するため、本人がその変化についていけません。
体に気付かないまま今までの生活を続けることで新陳代謝が鈍ってきます。
なので洗顔などもそうなのですが、新陳代謝についても意識する必要が出て来ます。
腸内環境を整えて、きちんと排泄する体を作らなければ皮脂の過剰分泌という形になって出て来ます。
そこでココア、便秘改善・整腸作用については先に説明した通りです。
加えて角栓は毛穴の汚れが酸化して出来たモノ、ポリフェノールの抗酸化作用はニキビ防止にも大きな作用をもたらします。
美肌効果だけでなくニキビの予防に対してもココアは大きな効果があります。
肌荒れ
肌荒れの原因は色々ありますが、便秘も代表的な要因の一つです。
便秘が続くと大腸に便が溜まり、そこから生じた毒素が血管から全身に広がり皮膚にも到達します。
これが肌荒れの大きな原因、つまりは排便を正常にしなければ肌荒れの改善も難しいです。
カカオプロテインの作用に食物繊維の含有量、ココアの便秘改善効果は繰り返し述べて来ました。
特に歳を重ねることに新陳代謝は鈍り、便も硬く排泄されにくくなるので意識的に腸内環境を整えることが必要です。
ココアを飲むことで便秘が改善されるなら、飲まない手は無いでしょう。